楽器はデリケート。引越しには万全な準備が必要です。
ピアノやエレクトーンといった大型楽器など、自分で運べない楽器に対してできることは、「安全に運んでくれる運搬会社を選ぶこと」です。
運搬の依頼先は主に、
- 引越しのオプションで依頼をする
- 専門業者に依頼をする
この2つです。
それぞれの運搬方法のメリットとデメリット、費用の相場、具体的な運搬手順などを詳しく説明していきます。
楽器類の運搬方法
専用のケースがあるギターなどの楽器は自分で持っていくこともできますが、「ピアノやエレクトーン」といった大型楽器はどのように持っていけばよいのでしょうか。
引越しをする際の楽器の運搬方法には大きく分けて2つあります。
1、引越しのオプションサービスで楽器の運搬を依頼(お得!)
この方法は最もお手頃な方法として利用する人が多いです。
楽器の運搬は、どの引越し業者でも別料金扱いなので、見積もりの際に運搬してほしい楽器があることを伝えましょう。
サービス内容は業者によりますが、専門の資材を使った丁寧な梱包、運搬後の消毒や調律を行ってくれるところもあります。
しかし、専門知識を持っていない作業員が楽器の運搬作業を行うこともあるようで、こうした場合はキズや故障、破損などのトラブルに繋がる可能性もあります。
このようなことが起こらないよう、
- 「楽器を運ぶノウハウはあるのか」
- 「専門知識を持った人が運搬するのか」
- 「トラブルの際の保証はあるのか」等、
不明点は明らかにし、しっかりと担当者と打ち合わせすることが大切です。
2、「楽器運送の専門業者」や「輸送業者」に、引越しとは別に依頼し運搬してもらう(安心!)
こちらは引越し業者よりも費用が高くなる可能性がありますが、グランドピアノなど取り扱いがデリケートな楽器を持っている人はこちらの方法がオススメです。
特に楽器運搬の専門業者なら経験も豊富で、それぞれの楽器の運搬方法について知識をしっかりと持っているため安心してお任せできます。
なお、通常の引越し業者でも「楽器の配送を専門に扱う業者」と提携していることも多いです。
楽器運搬専門業者と引越し業者を別々に依頼すると手続きや、搬出のタイミングの調整など色々と手間がかかるので、引越し業者の見積もりの際に楽器配送専門の提携業者がないかどうか聞いてみましょう。
引越し業者を介すことで紹介割引などが適用され、通常の費用より安くなることがあります。
楽器(ピアノ・エレクトーン)運送の料金相場
運送費用はグランドピアノ、アップライトピアノ、エレクトーンなど種類によって変わってきます。
種類によって重さが異なるため、作業員の人数、すなわち人件費が変わってくるためです。
おおよそグランドピアノの運搬に必要な作業人数は4名、アップライトピアノの運搬には作業員2名が必要だといわれています。
また、楽器の運搬距離が長くなるほど費用は高くなり、階段がある場合は階数によって費用が上がります。
もし楽器の幅よりも階段や廊下が狭い場合は、クレーン車を手配し窓からの搬入になりますが、住居前の道幅などの関係でクレーン車が使えない場合はピアノを解体して運搬したりすることもあります。
こういった特殊作業が発生する場合はさらに費用が上がります。
グランドピアノ、アップライトピアノ、エレクトーンの料金相場表を作ったのでご紹介します。
距離別、種類別の楽器の運送費用相場
運送距離 | グランドピアノ | アップライトピアノ | エレクトーン |
〜10km | 約¥31,000 | 約¥18,000 | 約¥13,000 |
〜20km | 約¥35,000 | 約¥20,000 | 約¥14,000 |
〜30km | 約¥38,000 | 約¥23,000 | 約¥17,000 |
〜40km | 約¥40,000 | 約¥24,000 | 約¥18,000 |
~80km | 約¥50,000 | 約¥30,000 | 約¥22,000 |
~100km | 約¥60,000 | 約¥35,000 | 約¥26,000 |
~120km | 約¥65,000 | 約¥38,000 | 約¥30,000 |
※実際の料金は様々な条件によって異なります。
この相場は基本的な料金です。これに加えてクレーン車、階段の利用などの追加料金がかかりますが、業者によって幅があるので、あくまで目安になります。
楽器運搬の手順
1、見積もり、相談
楽器運搬の依頼は、まず現在の住所と運搬先の住所、日程などのスケジュール、運んでほしい楽器の種類を業者に伝えて、見積もりを貰います。
引越し業者にオプションがある場合でも、専門業者と両方から見積もりを取って比較すると相場やサービスの違いが分かり最終的な判断がし易いです。
楽器によっては温度変化や湿度の変化によって音質が悪くなったり、少しの衝撃でも音質が狂ってしまう場合もあります。
運搬時どういう環境で運ぶのかも事前に確認しましょう。依頼する業者が決まったら、当日の搬出時間などの詳細を業者と打ち合わせます。
少しでも不安が生じた場合は他の業者にするなど妥協はしないようにしましょう。
2、運搬前のチェックと準備
引越し当日は、初めにキズがないかどうかのチェックを業者と共に行います。運搬直前はそこまで時間を掛けてチェックすることができないので、万が一のトラブルを防ぐためにも、事前に自分でキズやへこみなどがないかを確認しましょう。
チェックが終わったら、専門の作業員がピアノの場合は鍵盤の蓋が開かないようにしっかりと固定し、ピアノ本体にも専用のカバーをかけて、ぶつかってもキズがつかないように厳重に保護します。
その後、床や壁にも養生を行って、楽器運搬に慣れている作業員が搬出を行うという流れになります。
ギターやベースなどの普段から自分で持ち運んでいるような楽器も、もちろん引越し業者に運搬依頼することもできますが、他の荷物と一緒に荷台に乗せるため、万が一の破損の恐れもあります。できれば自分の手荷物として運搬することも考えましょう。
業者に依頼する場合は、ギター本体やネック周り、ペグ、弦と指板の間などもプチプチシートを使って丁寧に保護してギターケースに入れましょう。
ケース内に隙間ができないように、ここにもプチプチシートを詰めて、さらにケース自体もシートでくるみます。ここまですれば業者に託してもほぼ安心です。
運送と同時に受けられるサービス
楽器運搬を依頼する際、業者によって関連するサービスを用意しているところがあります。
ピアノなどデリケートな楽器は、数メートルの移動でも音色が変わってしまうこともあります。そのため引越し後ほとんどの場合で調律が必要になります。
引越し業者の中には、引越し後の調律を行ってくれるところがあります。調律は追加料金になることが多いので、見積もりの際に業者に確認しましょう。
また、新居の和室に楽器を設置する場合、安定性を保ち且つ畳の傷みを防ぐための「敷版」と呼ばれる専用の板が必要になる場合があります。
こちらも業者によって販売を行っており、搬入作業の際に一緒に取り付けてくれるサービスがあります。
その他、賃貸契約などの都合で一時的に楽器を預かってほしい場合なに、1日単位で預かってくれる引越し業者もあります。
必ず複数社で見積もりを!
楽器運搬が必要な場合、「ピアノ運搬が可能な業者」が絶対条件になってきますが、「引越しとは別の専門業者」を視野にいれて検討すると、引越し業者の選択肢が増えます。
様々な条件が重なる「引越し」ですが、最近の引越し業者も細やかなサービスが豊富であるため、条件に合う業者は見つかるはずです。
面倒でも複数社を比較検討してみてください。
楽器搬送のトラブル
引越しのトラブルは残念ながら大変多く、国民生活センターや消費者生活センターに寄せられる苦情や相談の件数でも「引越しのトラブル」に関するものが常に上位を占めているそうです。
楽器搬送のトラブルも同様によく起こり得ることなので、トラブルを未然に防ぐためにも、まずはどんなトラブルがあるかと把握しておいた方が安心です。
ここでは実際に、楽器搬送に関してどんなトラブルがあるのかを見ていきます。
楽器運搬の際、他の荷物と一緒にコンテナに入れてしまう業者があるようです。
輸送中に荷物同士がぶつかると、大事な楽器に大きな振動や衝撃を与え、キズや故障の原因となることがあります。このようなトラブルを防ぐため、楽器運搬を依頼する業者を選ぶ際、運搬方法の確認は絶対に行いましょう。
楽器運搬業者が保険をかけていることもありますので、その場合の保証内容も事前に担当者に確認しておいてください。
見積もり段階で業者に告知していない事があり、それが原因で追加請求を求められる、ということもよくあります。
楽器搬送では業者によって様々な付加サービスがあります。事前にどのようなサービスがあって、それの費用はどれくらいかかるのか?自分の楽器はそれらに該当しないのか?を細かく確認しておくことが大切です。
万が一トラブルが起こってしまったらまずは業者の担当者に連絡を入れ、どういった対応をしてもらえるかを確認しましょう。
その対応に不満があれば苦情受付コールや国民生活センターなどに苦情を持ち込むという方法もあります。トラブルは自分だけで抱え込まないことが大切です。