賃貸住居に住んでいるなら避けて通れないのが「退去時のクリーニング」です。
どの箇所をどのくらいキレイに掃除すれば良いのか事前に知っておくと、引越しの準備に「掃除のスケジュール」も組み込んで考える事ができます。
おすすめの掃除方法と併せて、大掃除のポイントを紹介します。
旧居の掃除はどこまでするべき?
賃貸アパートやマンションに暮らしていると、退去時にどの範囲まで掃除すれば良いのか迷うこともあります。
東京都が定めた「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」によると、借り主は「故意の損失や、借り主の責任によって生じた損傷や傷の復旧(現状回復)」が義務づけられています。また貸主には「経年劣化および通常の使用による復旧」を求めています。
これをシンプルに言い直すと「自然に付いた汚れや劣化はそのままでOK、不注意で付いた傷や汚れは、貸主に修復して返すこと」となります。
入居したときの小ぎれいな状態に近い状態で戻すことが基本の考え方です。
○ 原状回復すべきもの
- ペットの臭いや汚れ
- いたずら描き/洗濯機やエアコンの水漏れによるシミ
- フローリングの床の凹み(引越し作業で付いたもの)
- キッチンのガスコンロや換気扇の油汚れ
- お風呂場やトイレの水垢、カビ汚れ
× 掃除しなくて良いもの
- 壁紙やクロス、床の日焼け
- フローリングのワックスがけ
- 画鋲やピンの跡
- タバコのヤニ(※クリーニングで取れる程度)
- カーペットのへこみ、家具の跡
キレイに掃除すると、戻ってくる敷金が多くなるケースも
賃貸住宅に入居するとき、不動産屋さんに必ず支払うのが「敷金」です。敷金は家賃の2~3か月分が一般的です。
住まいを退去するときには、この敷金から原状回復分のお金が差し引かれて手元に戻ってきます。
あまり期待すべきものではないものの、退去前に自分である程度キレイに清掃しておくと、敷金の戻る割合が多くなることもあります。
とはいえ一般常識と照らし合わせると、故意に付けてしまった傷や汚れは、なるべく元の状態に戻して、オーナーに返すのが社会人としてのマナー。
戻ってくる敷金ばかりに着目するのではなく、スマートな大人の振る舞いを目指したいものです。
■東京都「賃貸住宅トラブル防止ガイドライン」
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/juutaku_seisaku/tintai/310-23-00-jyuutaku.pdf
掃除方法、掃除のコツ
やや気が重くなる退去前の大掃除は、コツさえ知っておけば、意外に早く終わるものです。
立つ鳥跡を濁さず…キッチンやトイレ周りを、ピカピカにするための方法をお伝えします。
キッチンの油汚れ
見て見ぬふりをしたくなる、ガスコンロや換気扇の油汚れ。
ガンコな油汚れは「アルカリ性洗剤で緩めて落とす」のが上手に掃除するポイントです。
ゴシゴシ擦っても落ちない場合は、洗剤をシュッとスプレーし、上からキッチンペーパーでガード。少し時間が経ったあとに、汚れを落とします。
トイレの水垢
トイレに入ったとき目に付くのが、タンク上や便器内の水垢です。
水垢にきくのが「食品用ラップ」です。使い方はとても簡単、トイレ用洗剤を数滴垂らし折り重ねた食品用ラップで数回こするだけ。
スポンジやトイレブラシで擦るよりも、まんべんなく洗剤が行きわたり、落ちにくい水垢が取れやすくなります。
ペットの臭いや汚れ
一緒に暮らしていると、ペットの臭いに慣れてしまうこともあります。退去前には臭いの除去にも気を配りましょう。
ペットの臭い消しに効果的なのが「衣類用の消臭剤」です。このほか「炭を置く」「緑茶をフライパンで炒める」「お酢を置く」などの昔ながらの知恵も、不快な臭い消しに活躍してくれます。
ペットのおしっこなどのシミ汚れは、弱アルカリ性や中性の洗剤で落としましょう。
カーペットに付いた汚れは直接洗剤をかけ、上から古布で抑えます。古布の上から歯ブラシなどで円を描くように擦ると、次第に汚れが布に移ってきます。
子どもの落描き
お子さんの落描きは微笑ましいものの、れっきとした落とすべき汚れ。軽い汚れは100均でも売っているメラミンスポンジで落とせます。
マジックなどの強い汚れは「ネイルの除光液」「キッチンのサラダ油」「ガラスクリーナー」が適しています。
大量に付けるとかえって汚れが広がるリスクもあるため、少量をめん棒に付け、少しずつ落としていくのが賢い方法です。
風呂場の黒カビ、ピンク汚れ
お風呂場の黒カビやピンク汚れは、工夫次第でスッキリ落とせます。
用意するのはお風呂専用の洗剤。毒性の強いタイプが多いため必ずゴム手袋をはめ、換気しておこないます。
カビが気になる箇所にスプレーして、こより状に練ったティッシュでラップしておきます。数分後に歯ブラシで擦ると、染みついた汚れが浮きやすくなります。
またピンク汚れは、消毒用のエタノールや重曹が適しています。少量つけスポンジで擦ると、簡単に汚れが落ちます。
引越し当日に出たゴミや汚れ
トイレやキッチン周りの汚れは、引越し前日までに済ませておくことができますが、対処できないのが、引越し業者が家電や家具を搬出したあとのホコリや汚れです。
普段手入れしにくい冷蔵庫や洗濯機の裏やクローゼットの奥などには、長い間積もったチリやホコリがたっぷり落ちています。
簡単なゴミを見つけたらその場でさっと掃除できるように、手元に「掃除用のグッズ袋」を用意しておくと退去時のクリーニングがラクに済みます。
ミニほうきやちりとり・ゴミ袋やクロスなどをまとめて入れておき、搬出用の段ボール箱に入れずに、個別に残しておくと取り出しやすくなります。
旧居の掃除に便利なグッズ
引越し作業が終わったあと、管理会社の方に鍵の受け渡しをするまでに済ませておきたいのが簡単なクリーニングです。
携帯用のグッズ袋に入れておきたい、掃除アイテムをご紹介します。
ミニほうき&ちりとり
100円均一でも販売されている、小さなほうきとちりとりのセットは、通常のほうきと比べてがさばらず、コンパクトなため狭いすき間にも程よくフィットします。
ベランダやエアコン置き場の、髪の毛やホコリもさっぱり取れます。使い終わったらそのまま捨ててしまえるのも100円均一のいいトコロです。
ハンディ型のほこり取りワイパー
ハウスダストを救い取ってくれるワイパー。ロングタイプもありますが、退去前の掃除には小さなハンディタイプが向いています。
部屋の広さや汚れ具合に応じて、予備の取替用シートを購入しておくのもお忘れなく。
ただ、シートを100円均一で買うのはあまりオススメできません。シートが脆くすぐに破れてしまうからです。
ドラッグストアに売っている有名メーカーのものが丈夫で使い勝手も良いです。
マイクロファイバーのクロス
フローリングや玄関の拭き掃除にぴったりなのが、マイクロファイバーのクロスです。
通常の雑巾より価格は高めなものの、軽い力で室内の汚れがスッキリ落ちます。
また抗菌タイプのものは繰り返し使っても雑菌が増えないのでオススメです。
しかし、カラーボックスなど、表面が僅かにザラザラした家具を拭く場合、繊維が引っかかるのでスムーズな掃除ができない場合があります。
掃除箇所によって雑巾とクロスを使い分けると良いです。
ゴミ袋
あって困らないのがゴミ袋です。退去時のホコリ汚れや使用済みの雑巾を入れるために遣います。
30~40リットルが1~2枚あれば十分です。コンビニの袋でも代用できます。
カーペットクリーナー
コロコロの愛称で親しまれている、カーペットクリーナー。粘着力があるため、掃除機が使えないときでも簡単にゴミを処分できます。
玄関のたたきの砂汚れ、室内のペットの毛も短時間でキレイになります。
フローリングで使う場合は粘着力が少し弱めのフローリング用を用意するとスムーズにコロコロできます。